皆さんはくも○のような幼児の先取り教育は賛成ですか?反対ですか?
賛成か反対か。多くの場合この2択で議論され「カリスマ英才教育ママは先取り教育した」とか「いやいや、先取り教育にはメリット以上の弊害があるんだ」とか。どうしてもメリットデメリットの話になりがちです。
私はどちらかというと幼児の先取り教育は不要派だったのですが、その理由がきちんと説明できず、自分でもモヤモヤしていました。
そんな中この本を読んで、やっと私の考えが体系的に整理できました。そこで今回は、先取り教育とは何かを改めて整理した上で、先取り教育の必要性と子供の教育方針を考える上で考えるべきことについて解説します。
先取り教育とは
先取り教育とは、実際の学年で習う勉強を先に行うことを指します。
小学生以上は「先取り教育」、幼児は「早期教育」と区別して使うこともあるようですが、今回は幼児に対して読み書きや算数などを教えることを「先取り教育」ということにします。つまり、くも○のような幼児教育ですね。
モチベーションと幸せの関係
幼児教育の是非・要否を語る前に、この本に書いてあるモチベーションについて私自身の解釈とともに解説します。
モチベーションには、以下の二種類があります。
- 外発的モチベーション
- 内発的モチベーション
聞きなれなくて、なんだか難しそう、と思った方。いえいえ、言葉は難しいですが中身は簡単なので大丈夫です。
要は、外発的モチベーションとは「報酬を目的としたモチベーション」のことです。「お小遣いをもらえるからお手伝いする」とか「やれば褒められるから宿題をする」とかですね。そしてこのモチベーションはルーティンワーク的な仕事では有効な動機付けといわれています。
それに対して内発的モチベーションとは「自分の意志に基づくモチベーション」のことを指しています。「好きだから掃除する」とか「興味があるから料理する」とか。こちらはクリエイティビティの発揮が求められるような仕事では有効な動機付けといわれています。
残念ながら日本では「お金を稼ぐために働いている」人が多いように思います。外発的モチベーションですね。しかもお金は沢山得られれば得られるだけ良いと思われがちですが、一定水準以上を稼いでも幸福度は変わらない、というのは有名な話です。つまり、外発的モチベーションで得られる幸福度には限界があると言い換えられます。
一方内発的モチベーションの場合はどうでしょう。これは自分の好奇心・好きなことをしているわけですから幸福度は無限大です。もちろん自分や家族が十分に暮らせる分のお金を稼いでいる前提は必要です。好きなことを仕事にしているが、食料が十分に変えないほど貧乏というのはどう考えても幸福度が高いとは言えませんから。目指すは「好きなことをして、ある程度のお金を稼ぐ」という人生です。
加えて子供たちの時代はロボット・AIの活用が前提になりますから、ルーティンワークではなくクリエイティビティが非常に重要になります。つまりは内発的モチベーションを持つことは必須といえます。
ここまできたら「子供の幸せ」のためには内発的モチベーションがキーになるとご理解いただけたと思います。
幼児の先取り教育が不要な理由
お待たせしました。ここから本題に入ります。どうして幼児の先取り教育が不要なのか。
多くの場合「まだ4歳なのに3桁の足し算ができる!」とか「まだ5歳なのに漢字が読める!」とか、大人に褒められるのが嬉しくて勉強を頑張るケースが多いからです。これは完全に外発的モチベーションです。つまり褒められなくなったらやる気がなくなるパターン。
「幼いころから学習塾に通っていた子は、後からほかの子に抜かれることが多い。だから学習塾に通わせる必要はない」という意見をよく聞きますが、これは外発的モチベーションが関係しているのかもしれません。
「うちの子は算数や漢字の勉強が好きでやってるんです」というご家庭もあるでしょう。本当にそうであれば先取り教育は実施してもいいと思います。
しかし考えてみてください。本当に勉強が好きな子なら小学校に入ってからでも、自分でどんどん先取り・深堀りして学んでいくはずですから、幼児の先取り教育なんて不要なのです。やってもいいけどやらなくてもよい、という感じです。
この手の子は数学は美学、いつまでも数字のことを考えていたい、といった天才(変態)タイプです。学生時代にそんな同級生、何人いたでしょうか。エリート大学の理学部とかにはまぁいるかもしれませんが、そうでなければあまりいませんよね。そもそも親である自分たちはそういうタイプでしょうか?そう考えると、自分の子供がこのタイプである確率はかなり低いわけです。
自分の子が、勉強を進んで行う理由をじっくり観察してみましょう。
それでも先取り教育をするときのポイント
「今子供が楽しそうに学習塾に通っていてるから続けさせてあげたい」という方もいらっしゃるかと思います。そうした方のために、子供が天才(変態)タイプでなくても、内発的モチベーションを促す方法についてお伝えします。
端的に言うと、勉強のその先を見せてあげることです。勉強は生きていくための単なるツールを得る行為ですから、そのツールを使うとこんなことができるよ、という世界を見せてあげること。
学生時代、苦手な教科ほど「なんで歴史なんて勉強しきゃいけないんだー!?」とか「微分積分なんて生きていくうえで必要ないだろー?」とか嘆いたことはありませんか?大人に聞いても「子供は勉強するのが仕事だから…」とか言われて余計やる気なくなる…みたいなサイクル、ありましたよね。
でも大人になってから、地政学をもとに歴史が動いていて、その歴史をもとに世界が動いていて結果的に経済につながっていて…みたいな流れがわかってきて、自分に関係があるな、と思い始めて急に勉強してみたくなったり。しまいには「学生時代、なんでもっと勉強しておかなかったんだろう」なんて。これこそ内発的モチベーションをですよね。
先日、同じ学習塾に通っている子が5歳で微分積分ができる、と知り合いが教えてくれたんですけどね。それを聞くと大人たちは皆「すごーい!」とびっくりするわけです。たしかにすごい。でもその大人の大半は微積を人生で使ったことがないので「すごーい」止まりで終わってしまうのです。が、それでおしまいというのはもったいないなーと思うわけです。
微積って実はAI(人工知能)やロボット制御の技術に使われていたりするんです。そう聞いたらちょっとワクワクしませんか?
5歳にして微積というツールを手に入れた子に、そのツールでこんなことできるんだよ、誰かがと教えてあげたら、その子は内発的モチベーションをもってその先にあるものを学ぶんだろうな。もったいないなー。と。
やはり大人が意識して「勉強のその先」を知り、子供に教えてあげることが非常に重要ですね。
まとめ
先取り教育の是非議論は無意味です。幸せのカギは内発的モチベーション。
大人はいかに、子供が内発的モチベーションを持てるものを探してあげられるか、内発的モチベーションを持てるようになるかを考えてガイド・サポートしてあげることが重要です。
そしてこの本には、報酬を与えることでの弊害や逆に報酬を与えるべき効果的タイミングなど、モチベーションをコントロールするためのヒントが詰まっているので、興味のある方はよかったら読んでみてくださいね。
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