私立小学校育ちの私が、娘を私立小に入れないと決めている理由

自己発見/開発

子供を私立の小学校に通わせるのはとてもお金もかかりますし、毎日のお弁当作りや学校行事への参加、イベントごとの小物類の裁縫など、入学後の親の負担はとても大きいですよね。その上、私立小学校へ入るためには受験対策も必須です。そのため多くの親御さんにとって私立小学校へ通わせるか否かを決めるのは大きな決断です。だからこそ、こうした大きな決断を経て私立小学校に入学した後で、入学を後悔するなんてことは、絶対に避けたいものですよね。

私は私立小学校出身であり、皆お受験を経て入学したもののすぐに転校してしまったり、転校には至らなくとも私立小学校への入学を後悔している同級生が結構います。そして私自身、私立小学校入学のメリットはあるものの、自分の子供を私立小学校には通わせたくないと考えています。

そこで今回は、私立小学校出身者が子供の立場で感じた私立小学校のメリットや入学後に後悔する可能性のある理由、並びに私が自分の子供を私立小学校に通わせないと決めている理由について、説明いたします。



私立小に入ると享受できるメリット

まずは、私が振り返って(子供の視点で)感じる私立小に入ったことでのメリットをご紹介します。

受験不要で高校までエスカレーター式で進級できる

私の学校は小中高一貫の学校であったため、小学校の受験のみで高校まで行けたのは、ありがたかったと思います。ごく稀に、成績が悪すぎると小学校から中学校、中学校から高校に上がる際に「他の学校に転校されては?」と勧められてしまう生徒もいましたが、そういう生徒は学年でも1,2名程度だったので、ほとんどの生徒は高校まで進学できると考えてよいでしょう。

例えば中学受験をする場合、小学校4年生くらいから塾に通い始める必要があり、更に長期休みも塾通いの毎日を送らなければならなくなります。それに比べたら塾に通う必要がない分、習い事を辞めずに続けられたり、小学校6年生まで長期休みを「休暇」として過ごすことができる点ではとても良かったと思います。

各科目、しっかり勉強をさせてくれる

国語や算数のテストが週2回ずつあり、点数が低いと同じテストを満点になるまで繰り返し受けさせられました。いわば底上げ教育がしっかりしているので、少々出来の悪い子でも、ある程度のレベルまでは引き上げるシステムが整っているように感じます。

また、一般的なお勉強科目だけではなく音楽などもしっかり教えてくれましたので、6年生になる頃には全員が音符を読め、楽器を弾け、楽譜を書けるようになっていました。

もちろん、学級崩壊的なことも全くありませんでしたし、先生が教室に入ってきたら上から黒板消しを落とすなどのいたずらも一切なかったです(笑)。間違いなく勉強はしっかりしてくれますし、学校の他に塾などに行く必要はないでしょう。

行儀・適切な敬語を身に付けられる

行儀や適切な敬語は先生から指導されますし、学校で過ごしていると自然と身につきます。電車内では小さな声で話す、知り合いにあったら会釈する、先生には適切な敬語を使う、など。

当時は特別なことではなかったのですが、今考えると、小学校1,2年生の子が会釈するなんて、世間的には驚かれますよね。少し大人びた、お上品な印象を与えるかもしれません。これが女子小学校出身者=お嬢様という世間のイメージの所以かもしれません。

「いい子」スイッチを入れられるようになる

上述の通り適切な行儀や敬語を知っていて、それを使いこなすことができます。なので普段は「いい子」でなかったとしても、一度スイッチを入れると「いい子」を演じることができるようになります。

私の小学校からの友人はいわゆる、日系大企業への就職に成功した人が多いです。私はその理由の一つは「いい子」スイッチが入れられるから、だと思っています。笑顔で行儀よく適切な敬語を使っているだけで、面接官からの印象は良くなるので、面接の勝率が高くなるのだと思います。

生徒同士の生活レベル、教育方針などが似ている

私立に通う生徒の父親は医者や弁護士、またはサラリーマンであってもそれなりの収入があり、母親は専業主婦の家庭が多かったです。また比較的厳しい家庭が多いです。門限が早かったり、大学に入ってからも異性との旅行は禁止されていたり。

似た家庭環境で育った子供は、やはり似た感覚を持っており、一つのことに対する考え方や価値観などがとても似ているのです。例えばなにかの愚痴を言っても「あーうちもそう!わかるわかる!」と、ものすごく分かり合えます。それゆえ、今でも一番仲の良い友人は小学校からの同級生です。大人になってからも話が合うんですね。

因みに大学の友人からは「え、そんなことしちゃうの?」「そんなこと親が許しちゃうの?」といったような驚きエピソードをたくさん聞きました。私はそこで初めて「高校までの友人は似た者同士だったから、そうした驚きエピソードを聞いたことがなかったのだな」と思い知らされました。



私立小への入学を後悔する理由 3選

次に、私立小学校に入らなければよかったと後悔している人の理由をご紹介します。

学校が合わない

私立小学校は、公立小学校に比べて先生や規則など全体的にかなり厳しいです。

例えば私の学校では、先生の注意が守れなかったり、宿題をやり忘れたり、忘れ物をしたりすると、みんなの前でとても叱られました。因みに私は自分でも不思議なくらい忘れ物が多く、毎日の様に叱られていたので、寝る前には必ず「明日は忘れ物をしませんように。先生に怒られませんように。」とお祈りするのが日課になっていました。

更に、多くの生徒は片道1時間程度かけて通学している上に毎日宿題が沢山出るため、平日に遊ぶ時間はほとんどありませんでした。

また、規則に関しても髪の毛は肩についたら二つ結びにする、ポニーテール禁止、髪ゴムは黒か紺か茶色、ペンケースNG(筆箱のみOK)、色ペンNG(赤と青の色鉛筆のみOK)、鞄にキーホルダーをつけてはいけない、など第三者から見ると無意味だと思える規則が沢山ありました。

以上より、幼稚園(保育園)から小学校に上がった途端にとても厳しい環境となるために「学校が楽しくない」と強いストレスを感じる生徒も少なくありませんでした。私の場合は長期休暇明けの学期始めには必ずと言ってよいほど腹痛を起こしていましたし、中学年からは緊張型頭痛に悩まされました。私の友人にはトイレが異様に近くなってしまう子もいました。それだけ、小学生ながらにストレスを感じていた子は多かったです。

自分に自信を持ちにくい

生徒の中には、びっくりする程の優秀な子がいます。ここで言う優秀とは、先生の言うことを良く聞けて、忘れ物をせず、宿題を忘れず、成績が良いことを指します。(こうした生徒は実際、非常にお勉強が良くでき、難関大学に入って医者や弁護士になったり、銀行などの大手企業に総合職で就職したりなど、大人になってからもエリートとして活躍しているケースが多いです。)こうした生徒は先生から名指しで褒められるなど、非常に称賛されます。しかしそうでない子は、なかなか褒められる機会がありません。

そのため、上位の優秀な子はたくさん褒められたり学級員のようなまとめ役に抜擢されたりと、とても自信がつくと思いますが、それ以外の多くの生徒は褒められる機会が少なく、自分の悪い所ばかりが気になってしまう可能性があると思います。

世界が狭い

同級生の人数が限られているうえ、上述の通り似た家庭環境で育っている子供たちが集まっています。子供にとって小学校は家庭以外の唯一のコミュニティになり得ますが、そのコミュニティに自分と似たような人しかいない考えると、かなり偏った世界だと思います。そしてこうした偏った世界で育つと、その環境・感覚は世の中のマイノリティであるにもかかわらず、マジョリティだと錯覚してしまいます。事実、私自身大学に入ってから「こんな世界があったのか!?」驚かされることが多かったです。

更に、公立のように先生のローテーションがありません。自分自身が同校出身であったり新卒からずっと同校で働いている、といった先生も少なくないため、当該学校しか経験していない先生が多く集まっています。そのため非常に偏った世界だといえ、そこで6年間過ごすことにより世間の感覚からずれてしまう可能性があると考えています。



私が娘を私立小に入れないと決めている理由

私は子供を私立小に通わせないと決めています。それはこれからの時代の生き方や必要な力を考えると、必ずしも私立小が良いとは思えないからです。詳細は以下の通りです。

「女の子は稼がなくて良い」時代は終わったから

私が小学生の頃は、女性は結婚して家に入る方がマジョリティでした。それもあって「女の子には受験勉強でガツガツするより、のびのびと育ってほしいから、受験なしで高校までゆったりと過ごせる私立小に入学させたい」と考える親も多かったように思います。その背景には、女の子は良縁に恵まれて家に入ることこそ幸せだという考えがあったからです。

しかし昔と今では状況が違いすぎます。男女ともに年々晩婚化してきていますし、生涯未婚率も増加傾向にあります。もしかしたら自分の娘も生涯未婚を選択するかもしれません。そうなったとき「のびのびと育てたがために、娘が独り身で困窮している」なんてことになったら、悔やんでも悔やみきれません。
また良縁に恵まれたとしても、日本人の平均給与(実質)の減少により共働きでなければ十分な生活が維持できなくなってきています。そのため結婚後も働き続ける必要が出てくると思います。いずれにしても、「女の子は稼がなくて良い」時代は終わったといえます。

そのため「女の子はこうであるべき」といった昔ながらの厳しいしつけは、いまや何の意味も持たないと、私は考えており、より広い世界を知り、自己肯定感を高く持つこと、自分の得意なこと・好きなことを見つけることが非常に重要だと思っています。以上から、私が求めている教育は私立小学校の教育方針とあまり合致しないのではないかと、考えています。

世界で戦える子供の教育には向いていないから

私立小の教育方針はいわば「右に行くか左に行くか」の判断を一切必要とせず、大人が用意したレールの上をとにかく上手に辿っていかせるような教育です。こうした教育は、日系大企業のエリートを作り出すような教育だと思います。

しかし少子高齢化の加速により、今後の日本の経済は間違いなく衰退していきますし、すでに日系大手企業は「安泰な就職先」ではなくなってきています。そのため私は、自分の子供達には世界で戦える力を付けさせたいと考えています。世界で戦うためには、語学力のような表面的なスキルを持っているだけでなく、他の人と差別化できる尖ったものを持ち、自分の力で考え判断して解決策を見いだせる力を持ち、自分を主張できる力を持つことが重要だと考えています。これらはいずれも私立小学校の教育方針とは合致しないと考えています。

因みに常に成績優秀で何でも上手にこなせる小学校の同級生が数人いますが、上述の通りみな日系大企業に勤めています。これは素晴らしいことの様にも思えますが、私は「何をやっても勝てない〇〇ちゃんなら世界を変えるポテンシャルがあっただろうに、普通の企業に埋もれてしまったな。」と感じます。恐らく私たち私立小出身者は無意識に、大人が期待するものを素早く察知し、その期待に応えることを重要視してしまうからではないかと思います。



まとめ

私立小学校入学にはいくつものメリットがありますが、それは必ずしも子供たちの時代にプラスに働くものばかりではないかもしれません。今一度、どんな人生を送ってほしいかを考えてどんな教育を受けさせるべきかを検討してみてはいかがでしょうか。

とはいえ、実際に小学校に通うのはお子様ですので、親の理想だけでなく子供の意思を尊重してあげることは最重要だと思います。たかが6年間、されど6年間。お子様にとっては長い長い6年間になりますので、お子様の性格なども考慮しながら、親子で納得のいく小学校選びができること、応援しています。



コメント

  1. 3人のママ より:

    なんか…
    私立小学校に通わせる年収のない人の ただの強がりみたいな…

    私たち親世代のころと、いまだにほとんど変わりない公立小学校の教育。
    これがこれからのこどもたちの未来にプラスに働くとは到底思えない。

    • キリゾウ より:

      ブログを読んでくださり、またコメントまでいただきましてどうもありがとうございます。

      そうなのですね。私はもしかしたら隣の芝が青く見えていたのかもしれません。
      しかし今の時代、公立⇔私立だけではなくインターナショナルや留学など様々な選択肢がありますので、子供にあった選択をできればいいな、と思います。

  2. 瑠璃 より:

    初めまして。瑠璃と申します。
    たまたまお見かけしてブログを拝見しました。
    我が家も小学校受験を考えていたのですが、後々の人生に本当に必要なのか疑問に思っていました。
    ブログを読み、やはり投資する箇所が違っていたなと気付かされました。
    これからはもう学歴社会は終わり、私立だからと恵まれるとは限りません。また、子どもが子どもらしく過ごせない可能性も高く、公立で多様な価値観に触れてほしいと感じるようになりました。
    私立にお金をかけるのではなく、子どものあらゆる選択肢を用意するために、お金を使ったほうが良いな,と。

    気付きをくださり、ありがとうございました。

    • キリゾウ より:

      初めまして。
      ブログを読んでくださり、またコメントまでいただきまして、どうもありがとうございます。

      私も瑠璃さんと同様、選択肢の幅を増やしてあげることがとても重要だと考えており、そのために具体的に親として何をしてあげるべきか、日々悩んでおります。
      親として子供の将来の幸せを思う気持ちは、やはりどのご家庭も一緒ですよね。

      このご決断が瑠璃さんにとってもお子様にとっても「正解だった」と思えること、お祈りしております。

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