最近SNSの広告でもよく見るVR英会話Smart Tutor(スマート・チューター) 。なにやらAIを使ったVR英会話だとか。気になっている方も多いのではないでしょうか。今回無料体験をしてみたので、レビューしたいと思います。
私は今まで1年半ほどオンライン英会話をし、自分の言いたいことをある程度話せるようになりました。しかしいつも「イッテルコトワカル。ケドアナタ、スピードオソスギルネ~(日本語訳したイメージ)」というフィードバックを毎回受けており、成長が感じられずに悩んでいました。
その課題は自分自身も感じていたし、いつも同じ表現ばかり使っていて私ってばバリエーションも少ないな~と思っていました。
それによく「ドラマ・エイガ、エイゴデミル、スゴクイイネ~ (日本語訳したイメージ) 」とアドバイスもらうのですが、そんなに海外ドラマが好きではない私には、スクリプトを変えて何回も見ること自体が苦痛で苦痛で…なかなか続きません(だって面白いドラマないんだもん。)。
そんななか目に入ってきたのがSmart Tutorの広告。なんか面白そうだし、無料で体験できるみたい。ならやってみようかな。と思って始めてみました。
同じようにSmart Tutorが気になっている方の役に立てたらうれしいです。
Smart Tutorを使って感じたメリット・デメリット
実際に無料体験して感じたメリデメは以下の通りです。
メリット
- VR機器を持っていなくても受講できる
- いつでも&何度でも勉強できる
- ビジネスのシチュエーションが疑似体験できる
- ネイティブの言い回しが学べる
- 英語口が育つ
デメリット
- 機器が重い
- 英会話の楽しさがない
- アドリブ力が付かない
- タイムマネージメントが難しい
- 接続が不安定なことがある
以下、詳細に説明します。
メリット
VR機器を持っていなくても受講できる
VR機器は無料で貸し出してくれるので、持っていなくても全く問題ありません。逆に既に持っている人は毎月割引があるようです。(と言うことは、機器貸出料金が月謝に含まれていると言えるんですけどね。)
私はVR機器を使ったことがなく「将来はVR使ってバーチャル旅行~とか言ってるけど、たかが知れてるだろ~」と侮っていました。今回初めて使ってみたのですが…すごいですね。いやーこれならバーチャル旅行、結構満足しちゃうかも。
無料でVR初体験させてもらっただけでも、ほんと良かったです(笑)
いつでも&何度でも勉強できる
これはとても嬉しい。
私はいつも子供が寝ている間に英会話とかするんですけど。予約してオンライン英会話が始まるぞ!と言う時間になったら子供がちょうど起きてきたりして。子供にすごい邪魔されながら英会話するもんだから全然集中できないんですよ。だから特に土日は英会話あきらめてます。
Smart Tutorなら予約までの時間待つ必要もなく。子供が起きてきたらすぐに中断できるので、その点が嬉しいです。
また会話の相手はバーチャル上の人間なので、呂律が回らずに言えない単語や文章は何回でも練習できるし。頭が真っ白になったときには一時停止ボタンで落ち着いてから会話に戻ることもできます。
ビジネスのシチュエーションが疑似体験できる
私は現在の仕事で英語をバリバリ使ってミーティングすることはめったにないです。だからこそ、ごくまれに海外拠点とのオンラインミーティングに参加するようなことがあると超緊張するし、他の人の様子を伺ったりして全然集中できなかったり(笑)英語を話すどころか、ヒアリングも全然できなかったりします。
オンライン英会話でもビジネスのシチュエーションを疑似的に作って練習することはありませんから、そうした雰囲気を味わえるのはSmart Tutorの大きな特長といえます。
ネイティブの言い回しが学べる
Smart Tutorの内容の詳細については後述しますが、簡単に言うと1人の人のセリフを覚えて発話するといった内容です。なので「安心して!」って「Rest assured!」って言えばいいんだ。などとオンライン英会話では絶対に学べなかったであろう言い回しを知ることができます。
英語口が育つ
Smart Tutorではエナジー・発音・発話スピード・アイコンタクトなどが数値化され、テストでそれらが基準に達していないと不合格になったりします。中でもお手本と同じスピードで発話するのは非常に難しいです。
なので英文を見ずにスムーズに言えるように何度も同じセリフを練習するのですが、これがなかなかできない。しかしできるようになるまで練習すると、頭で考える前に口が勝手に動いてセリフが出てくるような感覚になります。
日本語と英語の発音ってものすごく違うから、頭でわかっていても口がうまく回らないことってよくあるんですよね。口?とか舌?とか使う筋肉が違う感じ。それが英文を見ないとなるとなおさら。
例えば「…the firmware similar to what we will be building together.」っていう文があったんですけど、英文を見ずにネイティブのスピードでwhat we will be buildingがなかなか言えなかった。ワ行とバ行のオンパレード!!しかもbuildingまで言えた!と安心してtogetherを言い忘れたり。
こういう地道な練習ができるのは、普通の英会話では学べないSmart Tutorならではのメリットです。
デメリット
機器が重い
私はOculus Quest2を借りましたが、やはり重い。左手でずっと抑えていないと疲れる。
使っていると頬が痛くなるというレビューを見ましたが、私の場合は痛くはなりませんでした。しかし頬に機器の重さがかかるのは確かで、長く使っていると目の下から頬にかけて、垂れてしまうんじゃないかと心配になりました(笑)
これはSmart Tutorのせいではないけれど、やはり長く使うなら気になるところです。
英会話の楽しさがない
「英会話」のイメージで受講するとがっかりします。Smart Tutorは英語の「勉強」を少しだけ楽しくやるためのツールだと思った方が良いです。と言うのも、Smart Tutorは英語の言い回しを知り、それを暗記してスムーズに発話できるようになるためのツール。学んだ言い回しを使って自分の言いたいことをいうような応用要素は一切ありません。
オンライン英会話では自分の意見を言って、相手の意見を聞いて…といった双方向のコミュニケーションがとても楽しかったです。「フィリピンではコロナで子供たちの学校が全部オンラインなの」と教えてもらったり「オリンピックって、あなたの国でも盛り上がってるの?」と聞いてみたり。これは英会話の醍醐味です。が、Smart Tutorにこれは期待しないでください。
そもそもSmart Tutorと英会話は全く別のものだと思った方が良いです。後で知ったのですが、Smart Tutorを提供しているPlus One社も、Smart Tutorでインプットしたことをオンライン英会話などでアウトプットする、併用をお勧めしているようです。
アドリブ力が付かない
上述の通り、いわゆる「英会話」ではなく暗記がメインなので、アドリブ力はつきません。アドリブ力を付けたければやはり、オンライン英会話などを使った方が良いです。
タイムマネージメントが難しい
オンライン英会話の場合、25分とか30分などと時間が決まっており、時間がたったら接続が切れるのでタイムマネージメントの必要はありません。が、Smart Tutorの場合はタイムマネージメントが必要です。
キリが良いところまで、と1シナリオを終えるまでと決めてやると1時間半位かかったりすることもあります。なので、隙間時間にやるとしても、じぶんでしっかりとタイムマネージメントする必要があります。
接続が不安定なことがある
Smart Tutorへの接続が不安定で、10日間の無料体験中も何回か接続できないことがありました。
また、会話を聞いてその内容を翻訳するというテストがあるのですが、要約を終えてもなかなか結果が出ずに待っていると、暫くしてエラーメッセージが出て採点されないということが何回かありました。気合を入れて要約しても、そうしたことが起こるとモチベーション低下につながります。時間もロスして、イライラします。
いずれにしてもサーバーがもう少し安定してくれないと感じなくても良いはずのストレスがたまるので、Plus One社には早く改良してもらいたいです。 ※ 2021/9のアップデートで改修されたようです。
効果的な使い方
初めてSmart Tutorを使って勉強する際、どこから初めてどのように勉強していけば良いのかイメージが付きませんでした。しかし使っているうちにこうすれば一番効率よく効果的に勉強できる、というのが見えてきたのでオススメの使い方を紹介します。
Smart Tutorのトレーニング内容
Smart Tutorにはビジネスパートナーとのミーティングや人事採用ミーティングなど合計11のシチュエーションが用意されています。これはオリエンテーションの際に実際に自分の仕事に近いシチュエーションを選ぶことになります。
また各シチュエーションには各15前後のシナリオが用意されています。そのシナリオごとに以下の3つのモードがあり、それぞれにテストがあります。
- リスニング
- リーディング
- 翻訳
なおリーディングモードと翻訳モードは、各登場人物ごとに用意されています。
リスニングモード
リスニングモードでは全体の会話の流れを聞くことができます。一時停止や巻き戻しなども可能です。日本語訳も確認することができます。また会話の中で使われている単語の意味が分からない場合は、わからない単語をタップするとその場で確認が可能です。が、熟語に対応していないし、文脈の意味とは別の意味しか表示されないことも多い上、バグも多いので正直あんまり使えないです。※ 2021/9のアップデートで、単語も複数の意味が出るようになり、複数の単語を選択して熟語の意味を確認できるよう、改修されました。
リスニングモードのテストは、リスニングした内容を要約するというものです。会話に使われている単語や文章とは異なる表現をしても、AIにより適切に採点されるようです。
リーディングモード
リーディングモードでは、一人の登場人物(例えばTakaさん)の発言をシャドーウィングする練習があります。
リーディングモードのテストは、Takaさんの担当箇所の英文を読み上げます。しかし、英文をただ読んでいると「エナジーが足りない」「アイコンタクトが足りない」と判定されてしまうので、英文はチラ見する程度でTakaさんになり切って発話する必要があります。
余談ですが、テストではWashoku(和食)とかKatsudon(かつ丼)とか、日本語の発音で点数が下がることがかなり多いので、ちょっとイラつきます(笑)いや、wa shock とかcut downなんて言ってないやろが。
日本語は発音矯正の対象外にしてもらいたいものです。。
翻訳モード
翻訳モードでは、 一人の登場人物(例えばTakaさん)の発言について日本語文と虫食い状態の英文が表示されます。英文を作って発話する、というイメージになります。
翻訳モードのテストではTakaさんパートの日本語文のみが表示され、それをもとに英文を作って発話することになります。これも要約モード同様、AIにより見本通りの英文でなくても適切に採点されるようです。ここでも日本語を一生懸命翻訳して話すだけだと、「エナジーが足りない」「アイコンタクトが足りない」と判定されるので、日本語文はチラ見する程度でTakaさんになり切って発話する必要があります。
効果的な勉強方法
私の様にビジネスで英語を使う機会もなく、英語で話すことに慣れていないような人は各セリフを覚えることを第一に考えた方が良いです。例えば自分なりの言葉で要約することも出来なくもないですが、私レベルの人たちはそんなアドリブをしても絶対に伸びません。むしろ覚えた単語や言い回しを使って要約した方が勉強になります。これが全体を通した勉強方法の前提です。
この前提で、以下の順番で勉強すると効果的です。
- リスニングモードの練習(全体像の把握)
- リーディングモードの練習+テスト
- 翻訳モードの練習+テスト
- リスニングモードのテスト(要約)
以下、詳細について説明します。
1.リスニングモードの練習
まず、リスニングモードで会話の全体像を把握します。何回か聞いても聞き取れなかった部分は一時停止して聞き直したり、必要に応じて日本語訳を確認したりします。
しかしここではまだ要約テストは受けません。
2. リーディングモードの練習+テスト
リーディングモードに移ります。ここでの目標は「英文を読まず」「他の人とのアイコンタクトをしながら」「ネイティブのスピードで」発話できるようになることです。「英文を読まない」なんて、リーディングじゃないじゃん!と思うかもしれませんが。はい、リーディングじゃないんです(笑)そのため、ここはかなり時間がかかります。
何度も何度も同じセリフを言い続けます。言いづらいフレーズやどうしても次の単語が出てこない場合は、その部分だけ切り出して何度も何度も発音します。英語口を作るのです。
その後、全体を通してスムーズに言えるようになったらテストモードに移ります。そこまで練習したらテストは楽勝でしょう。
ただ人間、緊張すると出来ていたことができなくなる生き物。テストで「あれ?なんていえばいいんだっけ?」と思ったら英文をチラ見してください。
3. 翻訳モードの練習+テスト
2でしっかりと練習できていれば翻訳モードも簡単です。ただ、2で英文をチラ見してテストに合格したひとは要注意。今度は日本語文だけをチラ見して英語を言えるようになる必要があります。
とはいえ2でかなり練習していると思うので、練習は2,3回ほどですぐにテストに移りましょう。きっと楽勝で合格できます。
4. リスニングモードのテスト(要約)
もう一度リスニング練習モードを聞きながら取捨選択する部分を決め、要約英文をイメージします。
心の準備ができたら要約テストを受けてみてください。上記で練習してきた人のセリフはすらすらと言えることに驚きます。他の登場人物のセリフについても2~3を繰り返してから臨むと、すらすらと要約できるようになるのだと思います。が、私は飽きてしまうのでやっていません(笑)
Smart Tutorが向いている人・向いていない人
Smart Tutorが向いている人、向いていない人は以下の通りです。
向いている人
- ある程度文法知識がある人
- ビジネスで英語を使うが自信がない人
- 流暢ではないが言いたいことは言える人
向いていない人
- 会話を楽しみたい人
- ビジネス以外の目的の人
- すでに流暢に英語が話せる人
向いている人の特長
ある程度文法知識がある人
このサービス自体、中学生レベルの文法知識がある人を前提としています。文法が全く分からない状態だと、チンプンカンプンになってしまうでしょう。難しい単語や言い回しも使われていることがあるので、ゼロから英語を始めたいという人にはお勧めできません。
逆に中学生レベルの文法を知っていれば問題なく使えます。熟語や前置詞の使い方など勉強出来て、とても有用です。
ビジネスで英語を使うが自信がない人
英語は得意ではないがビジネスで英語を使う必要のある方にはお勧めです。というのも実際にあり得るシチュエーションが多いので、自分と近い立場の人の練習をすることで実際のビジネスシーンに応用できるからです。
例えば私は海外のオフショア開発拠点とのミーティングのシチュエーションで勉強しています。その中の一つのシナリオでは
Our milestone to complete the display portion is two weeks from now, October 1st.
Today’s meeting is to make sure that we are on track.ディスプレイ部分の完成のためのマイルストーンは2週間後の10月1日です。
本日のミーティングは予定通りに進んでいるかを確認するためのものです。
という言葉でミーティングが始まります。
私もかつて開発会社とのミーティングで「このマイルストーン上では××の完成まであと〇週間の予定ですが、順調ですか?」とかよく聞いていました。(日本語でしたが。)
似たようなシチュエーションでの英語を学べるので、それをカスタマイズして使えばよいだけです。なので、普段からビジネスで英語を使う人には非常に有用だと思います。
流暢ではないが言いたいことは言える人
まさに私です。一応オンライン英会話などでは相手に何かを伝えることはできます。ただ、それは英会話レッスンだからであって。先生はお金をもらってレッスンしている立場なので、生徒が何かを一生懸命伝えようとしているならば、先生も一生懸命その意味をくみ取ろうとするし。私が言いたいことをイメージして、それを英文に組み立てて言うまでに何分かかろうが、先生は言い終わるまで待っていてくれます。
でも実際ビジネスの場で「えーと…私は…じゃなくて…この製品の〆切は… えっと…末…です。…あ、今月の。」みたいな発言をしていると相手をイライラさせるし、最後まで聞いてもらえなくなるでしょう。そういった状況では英語が話せるとは全く言えないです。
ただ話すスピードをあげる練習って、毎日の30分程度のオンライン英会話では絶対に培えないです。なので、言いたいことは一応言えるけど対等の立場でも本当に会話として成立するのかな?と自信を持てない人には、試してみる価値ありです。
因みに発音の矯正をしたいという人も、使えると思います。が、会話において発音は発話スピード程重要じゃないです。発音矯正だけのためにこの教材を使うのは…ちょっとコスパが悪いです。
向いていない人の特長
会話を楽しみたい人
デメリットにも上げましたが「会話」の楽しさはゼロです。むしろ英文を覚える練習。そのためVR空間で躊躇せずに会話を楽しみたい!みたいなイメージでこのサービスを使うと確実に裏切られます。
勉強ではなく、会話重視で楽しみながら英語を練習したいと思っている方にはやはり英会話スクールやオンライン英会話などをお勧めします。
ビジネス以外の目的の人
現状Smart Tutorが用意しているシチュエーションはビジネスシーンだけの様です。
そのため海外でバーに行ってお友達を作りたい。といったようなビジネス以外の目的がメインの人は向いていません。
すでに流暢に英語が話せる人
すでにスムーズに英語が話せる人で、よく「英語を忘れないように普段から英語を使う習慣を常に持っておきたい」という人がいます。こういう方には不向きです。
何度も言うようにSmart Tutorは英語の勉強ツールです。なのでそういった目的の方はオンライン英会話などで楽しみながらできるものの方がよいでしょう。
まとめ
英会話スクールなどで「本当に英語力が向上しているのかな?」と不安に思っている人にとってはSmart Tutorは、とても有用なツールです。
とはいえ、月額料金は安くありません。なのでもしこの記事を見て少し興味が出てきた方は一度、無料体験をしてみてはいかがでしょうか。VR機器送料なども含めすべて無料ですし、タダでVR体験できるので、やってみる価値ありです。
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